インドネシア火力発電所事件、丸紅が役員を処分

丸紅は5/16、インドネシアのタラハン火力発電所に関わる外国公務員贈賄事件について新たなプレスリリースを公表しました。
http://www.marubeni.co.jp/news/2014/release/data/indonesia.pdf

それによりますと、

  • コネチカット州連邦地裁が5/15、アメリカ司法省(DOJ)との間の司法取引契約を承認し、丸紅に対して8800万ドル(約91億円)の支払いを命ずる判決を出した。
  • 丸紅としてはコンプライアンス体制の更なる強化のために5/26付けで「コンプライアンス統括部」を新設し、再発防止に務める。
  • 社長の月額報酬 50%を6 ヶ月間、会長及び代表取締役の額報酬 30%を6 ヶ月間、執行役員の月額報酬 10~30%を1~3 ヶ月間、減給する。
  • 事件に関係した社員に対して、社内規程に従い厳正な処分を実施する。

とのことです。

ナイジェリア事件の記憶もまだ新しい中で発覚した今回の事件、世間では「またか」と感じる人が多いのではないかと思われます。そうした状況の中での再発防止策または危機管理対策として今回の丸紅の対応が適切と言えるか、来週のBERC外国公務員贈賄罪研究会で検討したいと思います。

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JTC事件でベトナム国鉄副総裁らが逮捕

朝日新聞5/7夕刊によると、JTCによるベトナムでの外国公務員贈賄事件に関して、ベトナム国鉄のチャン・クオック・ドン副総裁ら幹部4人が背任等の容疑で逮捕されたとのことです。
一連の報道によると、「ハノイ市都市鉄道建設事業」に関係していたチャン・クオック・ドン副総裁(当時、鉄道プロジェクト管理部門責任者)と管理部門のファム・クアン・ズイ次長、ファム・ハイ・バン次長ら4人は「背任」または「公権力濫用」の疑いで逮捕されたようです。共同通信によると、他に、鉄道庁のチャン・バン・ルック鉄道プロジェクト管理部長も無期限停職になったとのことです。

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JTC(日本交通技術)事件の第三者委員会報告書

ベトナム、インドネシア、ウズベキスタンにおける外国公務員に対する贈賄疑惑について、日本交通技術株式会社(JTC)が設置した第三者委員会による報告書が4/25付けで公開されています。
http://www.jtc-con.co.jp/taio2.pdf

報告書の内容については、BERCで開講されている外国公務員贈賄罪研究会で先日、細部まで検討しましたが、ここまで詳細に外国公務員に対する贈賄の事実を認定した日本語による文書が公開されたケースはかつてなかったと思います。この報告書は外国公務員贈賄罪に関心のある企業のリスクマネジメント/危機管理担当者のみならず、アジア関連の海外事業に携わっている方にとっても必読ではないでしょうか。
今後、ODA関連事業に関する外国公務員贈賄防止策をどう改善していくのかという議論が国会でも行われると予想されています。特にベトナムについてはPCI事件の教訓がほとんど活かされていないことから、ODA業務の運営そのものにビルトインさせた形での防止策を構築すべきかどうかという点についても検討していかなければならないと考えられます。

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日本交通技術ベトナム等外国公務員贈賄疑惑の報道

日本経済新聞によると、日本交通技術株式会社に、ベトナム等での鉄道関連プロジェクトに絡む外国公務員への利益提供疑惑が浮上したとのことです。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2000Y_Q4A320C1CR0000/

日経の記事のポイントは、以下の通り。

  • 鉄道・道路を中心としたインフラ整備の設計を手掛けているJR東日本とJR東海系列のコンサル企業「日本交通技術」が約1億円の支出について東京国税局の税務調査に使途を明かさず、制裁課税を受けていたことが20日、関係者への取材で判明した。
  • この支出はODAに絡んで外国公務員に支払ったリベートの可能性があり、不正競争防止法違反(外国公務員への贈賄)の疑いが出ている。
  • 同社は約1億円の支出をいったん「仮払金」として計上し、その後、手数料などとして処理。東京国税局に「使途秘匿金」と認定され、法人税に重加算税と制裁課税を加えた約9千万円を課税された。同社は既に修正申告したとみられる。

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これに対して、日本交通技術株式会社は3/20付けでプレスリリースを発表しています。その内容は次のようなものです。

  • 一部報道によりODA(円借款)に伴う海外事業において、海外公務員に対する利益供与が行われた疑義が生じている。
  • 捜査機関(東京地検特捜部)に対して、すでに3月18日付で本件に関する情報の提供を申し出た。
  • 本件に関する事実関係の調査、原因分析及び再発防止策の提言を委託する第三者委員会を3月20 日付で設置した(委員長 國廣 正 (弁護士・国広総合法律事務所)、委員 竹内朗(弁護士・プロアクト法律事務所)、委員 西垣建剛(弁護士・ベーカー&マッケンジー法律事務所外国法共同事業) )。
  • 今後の対応としては、今後、捜査機関及び第三者委員会による調査に対して全面的に協力していく。第三者委員会による調査の結果明らかになった事実関係については、速やかに開示を行い、その提言については真摯に検討していく。

出典:日本交通技術株式会社公式サイト プレスリリース「一部報道についての当社の今後の対応について 」

http://jtc-con.co.jp/taio.pdf

報道と同タイミングでの第三者委員会の設置、入念な準備があったことを伺わせる対応だと思います。

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丸紅スマトラ島火力発電所事件 3/20付けプレスリリース

丸紅の3/20付けプレスリリースです。要約すると、以下のような内容です。

  • 丸紅は、インドネシア・スマトラ島ランプン近郊タラハン地区における「インドネシア国有電力会社」(PT. PLN(Persero) の火力発電所ボイラー案件について、フランス企業の米国子会社及びインドネシア子会社とコンソーシアムを組成し、2004 年 7 月に案件を受注した(本案件は 2007 年に完工)。
  • このコンソーシアムが起用した代理店が、インドネシアの公務員に対して不正な支払いを行った疑いがあるとして、FCPA 違反の疑いで、丸紅及びコンソーシアムパートナーその他関係者に対する調査が行われた。
  • 3 月 19 日、インドネシア・タラハン火力発電所向ボイラー案件に関して、DOJとの間で司法取引に合意し、8800万ドル(約 91 億円)を支払うことにした。裁判所による判決は 5 月 15 日の予定。
  • 丸紅は、ナイジェリアLNG プロジェクトに関して、FCPA 違反の嫌疑により、2012 年 1 月に米国司法省と起訴猶予契約を締結し、独立コンプライアンスコンサルタントを起用のうえ、コンプライアンス体制の見直しと改善を進めてきた結果、改善状況 について当社が提出した報告について、DOJは、丸紅が当該契約において要求されて いる水準に十分に見合う反贈収賄コンプライアンス体制を構築しているとして、2014年 1 月、 全ての手続が終了。
  • 今回のタラハン火力発電所プロジェクトは上記 2012 年 1 月の起訴猶予契約を締結する以前の過去事案。丸紅は、反贈収賄コンプライアンス体制強化に努めた結果、現在は強固かつ効果的な体制を備えていると考えている。
  • 今回の司法取引によって、更にコンプライアンスコンサルタントを起用することは要求されていないが、丸紅は、このような事態に至ったことを真摯に受け止め、今後も引続き反贈収賄コンプライアンス体制の徹底と向上を図っていく。
  • なお、2014 年 3 月期連結業績予想(親会社の所有者に帰属する当期利益 2,100 億円)に変更はない。

出典:丸紅株式会社 公式サイト プレスリリース「インドネシア火力発電所向ボイラー案件に関する米国司法省との合意について」
http://www.marubeni.co.jp/news/2014/release/JP20140320.pdf

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対応の早さ、ナイジェリア事件について隠さずに言及している点は、高い評価を得られると思います。

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インドネシア電力事業で丸紅がFCPA違反のplea of guilty

ロイターによると、3/19、丸紅がインドネシアでの電力ビジネスに関してインドネシアの公務員に賄賂を提供していたとして、司法省との間で8800万ドルの支払いに合意したとのことです。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA2J01P20140320

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アメリカ司法省のプレスリリース
http://www.justice.gov/opa/pr/2014/March/14-crm-290.html

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FBIのプレスリリース
http://www.fbi.gov/washingtondc/press-releases/2014/marubeni-corporation-agrees-to-plead-guilty-to-foreign-bribery-charges-and-to-pay-an-88-million-fine

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住友商事インドネシア事件に続く、インドネシアの案件として注目です。

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米系金融機関のSWF接待とFCPA

ブルームバーグは2/4、ゴールドマン・サックス等の金融機関がリビア等の政府系ファンド(SWF)からの投資を獲得するために、SWFの従業員にリベートを支払ったり豪華な物を贈ったりしたとして、外国公務員贈賄罪(FCPA)違反の嫌疑でSECの捜査を受けていると報じています。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N0G3546JTSFR01.html

日本でも最近、大手商社の厚生年金基金の運用担当幹部が、証券会社から高額接待を受けていたとして収賄罪で逮捕されています。厚生年金保険法121条は「基金の役員及び基金に使用され、その事務に従事する者は、刑法 (明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。」と規定しており、年金基金の従業員(民間人)であっても、賄賂といえるような高額の接待を受けたら、「みなし公務員」として収賄罪に問われてしまいます。
今回のSEC捜査は、金融機関による「運用契約の獲得競争における腐敗」が直接のターゲットのようですが、政府系ファンドの関係者がFCPA上の「外国公務員」と見なされ得るというのが今回の報道のポイントではないでしょうか。

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外国公務員贈賄罪の「適用」は何件目?

朝日新聞の夕刊(2013/09/11)ですが、この事件について、「外国公務員への贈賄罪が同法改正(1998年)で設けられて以降、贈賄罪の適用は4件目。中国が舞台となった事件は初めて。」と報じています(13面)。

ちなみに、外国公務員贈賄罪の「適用」という言葉が「逮捕または起訴」を意味するとした場合は、

  • 2007年の九電工事件
  • 2008年のPCI事件(東京地裁の判決確定は2009年)

に続く「3件目」になります。

これに対して「適用」という言葉をより広く捉えて、「捜査」(捜査機関が外国公務員贈賄罪の被疑事実について捜査を開始したと「報道」された場合)をも含むとした場合は、

  • 2002年の三井物産モンゴル事件
  • 2011年の住友商事インドネシア事件

をいれて「5件目」ということになります。

なお、外国公務員に対する贈賄という点で有名な

  • 2001年の三井物産中国事件

を考慮に入れるとすれば、中国が舞台となった「事件」は「初めて」とは言えないでしょう(ただし三井物産中国事件は少なくとも報道ベースでは捜査されておりませんし、立件もされておりません)。

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外国公務員贈賄罪で日本企業元役員が逮捕

共同通信・朝日新聞(夕刊)・産経ニュース等によると、本日(2013/09/11)自動車マフラー最大手「フタバ産業」の元専務が愛知県警に外国公務員贈賄罪の疑いで逮捕されたとのことです。
http://www.asahi.com/national/update/0911/NGY201309110007.html?ref=com_top6_2nd
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130911/crm13091117000014-n1.htm

産経ニュースによると、

  • 中国での事業をめぐり同国広東省にある自治体幹部に現金を渡したとして、愛知県警捜査2課が不正競争防止法違反(外国公務員への贈賄)の疑いで、フタバ産業(愛知県岡崎市)の元専務T氏を逮捕した。
  • 元専務T氏は2003年6月から2009年5月まで中国における事務機器事業を担当する取締役だった。
  • 逮捕容疑は2007年(平成19年)12月中旬頃に中国広東省の自治体幹部に数万香港ドル等を渡したというもの。
  • 金銭等の授受は、中国税関当局の検査で同社工場の違法操業が発覚した際に、黙認・もみ消しを求めるためだった。

    とのことです。
    朝日新聞によると、元専務は不正融資の会計処理をめぐって文書偽造で愛知県警に逮捕されていたとのことです。

外国公務員贈賄罪(不正競争防止法18条1項)の時効は5年。しかし、海外にいる間、時効の進行は停止するのが盲点です。
中国ではこのところ外資系製薬企業に対する中国刑法上の贈収賄事件が相次いで摘発されていますが、同じ中国ビジネスにからんで日本企業が日本の警察によって摘発されるという事態に衝撃を受けた方が多いと思います。

引き続き事件の推移を注視して参りたいと思います。

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航空機向け機内エンターテインメントシステムに関わるWSJの報道

3/31、The Wall Street Journal電子版が「航空機向け機内エンターテインメントシステム」を手がける日本企業米国子会社に関わる「FCPA関係の調査」についての記事を突如、掲載しました。

このWSJの記事掲載をきっかけに、日本でも共同通信、時事通信、朝日、日経等のマスコミ各社が昨日から今日にかけていっせいに同案件を報じています。しかし、後追いの記事はいずれもWSJの記事内容を紹介しているものが大半で新情報には乏しく、なかには「あれっ」と首を傾げるものも。

いずれにしても、ひとつ言えることは、外国公務員贈賄に関する案件は(特に米系)メディアにとっては「ホットイシュー」であり、対応ひとつで思わぬダメージを被ってしまいかねないレピュテーションリスクがあるということでしょうか。引き続き事態の推移を注視していきたいと思います。

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UE社フィリピンカジノ事件続報 土地取得の外資規制(朝日新聞)

今朝の朝日新聞(2012年12月31日)朝刊(3頁)は「UE社がカジノ用地を違法取得」したと報じています。昨日の関連記事です。
朝日新聞の記事によると、

  • UE社は、フィリピン現地法人「イーグルIランドホールディングズ(イーグルI社)を通して、マニラのカジノ用地を買収した。
  • フィリピン司法省はこの土地買収が違法であるとして、カジノ営業を認めないように娯楽賭博公社に対して勧告した。
  • フィリピン国会公聴会も違法な土地取得を重くみて、カジノ免許付与を巡って紛糾している。
  • フィリピンでは株式の60%以上をフィリピン国民が保有していない企業の土地取得は認められていない。
  • イーグルI社の株主構成は、4割がUE社の米国法人「アルゼUSA」、6割がフィリピン法人であるが、フィリピン法人の株式の4割はアルゼUSAが保有していた。
  • つまり、アルゼUSAはイーグルI社の株式を直接・間接的に計64%保有していることになる。
  • よって、イーグルI社による土地取得は土地取得に関する規制に違反しており、違法である。
  • UE社は12月12日にフィリピン地場大手企業と提携して株式を譲渡する計画を発表したが、違法状態の解消を目指すためとみられる。
  • UE社は朝日新聞の取材に対して「違法との認識はないが、法令順守体制の強化に取り組む」と答えた。

とのことです。
この朝日新聞の記事が仮に真実であるとした場合、カジノ用地取得がフィリピン国内法上の土地取得の外資規制に違反していたということになります。

しかし、昨日のFCPA違反疑惑の報道も含めて、UE社から朝日新聞の記事掲載に対するコメントは現時点で公表されておりません。上場企業の社会的責任という見地からは、同時に、企業防衛の観点からしても(年末年始という時期だからこそ)迅速な対応が望まれているのではないでしょうか。

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ユニバーサルエンターテインメント社のフィリピンカジノ事業に関する報道(朝日新聞)

今朝の朝日新聞(2012年12月30日)朝刊は1面トップで、日本のパチスロ遊技機メーカー「ユニバーサルエンターテインメント社(UE社)がフィリピンで計画しているカジノリゾート事業に関係してフィリピン政府高官らに接待が繰り返され、FCPA違反の疑いでFBIが捜査を始めた」と報じています。

朝日新聞の記事によれば、

  • UE社は、フィリピンにおけるカジノ営業の暫定免許を受け、現在は正式免許の認可待ちだった。
  • UE社の接待は、UE社と現在は敵対関係にあるアメリカのウィン・リゾーツ社の調査報告書によって発覚した。
  • ウィン社報告書によると、UE社は2008〜2011年にかけて、ラスベガス・マカオにあるウィン社のカジノホテルで、フィリピン娯楽賭博公社の総裁・部長らの宿泊費や遊興費を支払った。
  • 接待費は11万ドル(約946万円)にのぼった。
  • フィリピン娯楽賭博公社の総裁と部長は朝日新聞の取材に対して、接待を受けた事実を認めた。
  • ウィン社報告書は、米国に子会社があるUE社の接待は、FCPAに違反する可能性が高いという。
  • FBIが捜査を開始し、複数の関係者がFBIから既に事情を聴かれた。
  • 接待問題とは別に、UE社側がフィリピン娯楽賭博公社顧問だった人物に1,500万ドル以上の巨額送金をしていたことが判明し、フィリピン国会が公聴会を断続的に開いている。
  • UE社会長も年明けの公聴会に呼ばれる予定である。
  • UE社は接待を担当した元同社幹部社員らを相手に、損害賠償を求める民事訴訟を3件、東京地裁に提訴している。
  • まず、UE社米国法人の元支社長らに対する訴訟では、同社の香港関連会社を通じて1,000万ドル(約8億6千万円)がフィリピン娯楽賭博公社顧問が経営する英領バージン諸島の会社に送金されたことが争われている。
  • 次に、UE社米国法人の元支社長に対する訴訟では、コンサルタント料の名目で500万ドルが海外に不正送金されたことが争われている。朝日新聞が入手したUE社内部資料によれば、送金された日付はUE社の香港関連会社あてに資金が流された日と一致し、翌日にはフィリピン娯楽賭博公社顧問が経営する香港の会社に同額が送金されているという。
  • 最後に、接待を担当したUE社の元執行役員に対する訴訟では、ウィン・リゾーツ社の前身企業に出資した9千万ドルが使途不明になっていることが争われている。

とのことです。

この朝日新聞の報道内容が仮に真実であるとした場合、次のようなことが言えると考えられます。

まず、本件は、我が国の不正競争防止法18条1項が規定している「外国公務員贈賄罪」が適用される可能性があります。この点について朝日新聞の記事は言及していませんが、本件はむしろ我が国の外交公務員贈賄罪の典型ケースとも言える内容となっています。例えば、フィリピン政府高官が接待の相手方という点は、日本における最初の外国公務員贈賄罪有罪事件である「九電工事件」と同一です。また、ビジネスパートナーまたは密接利害関係人との間での「内紛」が事件化の一つの契機であるという点は、2番目の有罪事件である「PCI事件」と類似した構図になっています。便宜供与(接待)の担当者が日本人である以上、接待地が外国であっても、属人主義(刑法3条)に基づいて日本の外国公務員贈賄罪が適用される(可能性がある)という点もPCI事件と同じです。後は、時効の点と、フィリピン娯楽賭博公社の「顧問」が外国公務員にあたると言えるかといった点が問題となるでしょう。

次に、九電工・PCI事件と大きく異なるのは、FBIが捜査に乗り出しており、アメリカのFCPA(連邦海外腐敗行為防止法)の適用可能性があるという点です。事件の端緒となったウィン・リゾーツ社の調査報告書はFBI長官を務めた大物ルイス・J・フリー氏が率いるファームによって作成されているとのこと。FCPAで摘発された場合、日本の外国公務員贈賄罪との重畳適用という問題が発生するでしょう。

また、フィリピン議会の公聴会で本件が取り上げられ関係者が聴取されているという点は、インドネシアでの鉄道事業に関して同国の刑事裁判で接待相手が審理を受けていた住友商事の案件と類似性があります。住友商事事件は不起訴処分を勝ち取りましたが、本件はどうなるでしょうか。引き続き事件の推移を注視していきたいと思います。

いずれにしても、日米のエンターテインメント関係企業間でカジノビジネスを巡って紛争が生じており、その過程でFCPAまたは不正競争防止法の外国公務員贈賄罪の疑惑が報じられるに至ったということだと考えられます。

UE社は既に、ウィン・リゾーツ社会長のウィン氏を名誉毀損でフィリピン検察に告訴したり、一連の「疑惑」を報道したロイターを名誉・信用毀損で訴えたりしていますが、本日の朝日新聞記事についてはまだ正式なコメントを出していないようです。迅速かつ適切なメディア対応も含めて、UE社としては、外国公務員贈賄罪に特有のリスク対策を取ることが喫緊の課題になったと言えるでしょう。

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住友商事インドネシア事業の外国公務員贈賄疑惑、不起訴処分に。

住友商事のインドネシア鉄道事業に関する外国公務員贈賄疑惑ですが、東京地検が「不起訴処分」にしていたと朝日新聞が報じています(朝日新聞2012年7月3日朝刊38頁)。それによりますと、

  • 住友商事の社員2人がインドネシア運輸省幹部を日本に招いて数十万円相当のゴルフ・飲食接待を行った。
  • そこで、警視庁が外国公務員贈賄罪の被疑事実で捜査し、東京地検に書類送検した。
  • しかし、東京地検は6月、不起訴処分にした。

ということです。

毎日新聞によると、「接待額が少額なことなどから、賄賂と認定するのは困難と判断したとみられる」とのこと。

http://mainichi.jp/select/news/20120703k0000m040117000c.html

つまり、外国公務員贈賄罪について「嫌疑不十分」ということで不起訴という結論になったようです。

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住友商事のプレスリリース

住友商事が昨日、プレスリリースを出しました。
http://www.sumitomocorp.co.jp/news/2011/20111128_100846.html

「昨日及び本日、一部の報道機関で当社のインドネシア向け中古鉄道車両ビジネスに関わる記事が掲載されております。現在、インドネシアにおいて同国運輸省元幹部に対する裁判手続きが続いていることもあり、現時点で当社の立場につき具体的に申し上げることはできません。今後、機会を捉えて、当社として説明を行う所存であります。
これまで当社はコンプライアンス最優先でビジネスに取り組んできており、今後もこの方針で臨んでまいります。」

とのことです。

メディア向け第一弾としては、素早い対応だと思います。

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朝日新聞の続報(住友商事・インドネシア事件)

昨日のスクープ記事に続いて、今朝の朝日新聞朝刊(社会面38ページ)は次のように報じています。
http://www.asahi.com/national/update/1127/TKY201111270335.html

  • インドネシア運輸省は2006年夏頃から、中古鉄道車両の輸入について住友商事と交渉を始めた。
  • 住友商事は60両用意できるとして、1両につき990万円の費用を提示した。
  • インドネシア運輸省の予算は1両475万円だったので、入札を実施する予定だった。
  • しかし、住友商事の現地社員は、商談を打ち切る意向を示して拒んだ。
  • インドネシア運輸省のスミノ・エコ・サプトロ局長は2006年8月10日に日本で住友商事関係者からゴルフ接待を受けた。
  • その約2週間後に、サプトロ局長は住友商事と契約するように指示。2006年11月末に契約が締結された。
  • サプトロ被告の裁判は28日午後、言い渡される。

この朝日新聞の記事によると、ゴルフ接待の直後に、インドネシア運輸省内の反対意見を振り切って、局長が「住友商事でいけ!」と指示したという構図が示唆されています。
九電工事件では、フィリピンの国家警察長官が来日してゴルフ接待を受けた後、一部の反対意見を握りつぶして、九電工の現地子会社と契約を結ぶようにと指示を出したと報じられていました。

今回のケースとは、この点にも類似性が見いだされます。

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トランスペアレンシー・インターナショナルの「贈賄ランキング2011年版」

こんにちは。今日は、トランスペアレンシー・インターナショナルの「贈賄ランキング」のお話です。

トランスペアレンシー・インターナショナルは、世界の汚職を監視しているNGOですが、このたび2011年版の「贈賄インデックス」(The 2011 bribe payers index)を発表しました。http://bpi.transparency.org/

この「贈賄インデックス」は、主要28か国の企業が国際ビジネスを展開するにあたって「贈賄を行う可能性」(likelihood to bribe)をランク付けしたものです。
調査結果は以下の通りです(1位がもっとも「清潔」、28位がもっとも「腐敗」というイメージです)。

1位 オランダ
2位 スイス
3位 ベルギー
4位 ドイツ
4位 日本
6位 オーストラリア
6位 カナダ
8位 シンガポール
8位 英国
10位 アメリカ
11位 フランス
11位 スペイン
13位 韓国
14位 ブラジル
15位 香港
15位 イタリア
15位 マレーシア
15位 南アフリカ
19位 台湾
19位 インド
19位 トルコ
22位 サウジアラビア
23位 アルゼンチン
23位 アラブ首長国連邦
25位 インドネシア
26位 メキシコ
27位 中国
28位 ロシア

最下位はロシア、2番目が中国という結果になっています。日本は4位ということです。
調査方法は、世界の主要30か国のビジネスマン3,016人に対象に、各自がビジネスで関わっている外国の企業が贈賄に手を染める可能性(likelihood)がどれくらいあるかという見通し・認識(perceptions)を質問するというものです。
したがって、公訴件数や何らかの立件数といった客観的な数値を根拠にしている訳ではありません。

しかし、このランキングが国際ビジネスの現場でのイメージを忠実に反映しているとするならば、それはそれで意味のある指標になっていると言えるでしょう。外国公務員贈賄罪に関心のある方は、必読です。

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