2019年の腐敗防止と情報戦略

2019年(平成31年)になりました。明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。

昨年(2018年)発生した事件や動きのうち、コンプライアンスや腐敗防止の観点から重要なものを10件選ぶと、以下のようになるでしょう。

  1. ファーウェイ事件(2018/12)
  2. 日産ゴーン事件(2018/11)
  3. MHPSタイ事件(2018/7)
  4. パナソニックFCPA事件(2018/4)
  5. 文科省高官収賄事件(2018/7)
  6. ゴールドマンサックス1MDB 事件(2018/11)
  7. 岡田元UE会長、香港で逮捕(2018/8)
  8. 平昌オリンピックドーピング/サイバー攻撃(2018/2)
  9. ハラスメント(財務省セクハラ/スポーツ界パワハラ)
  10. 米国ロシア疑惑(続行中)
    (番外)
  11. 米朝シンガポール会談(2018/6)
  12. カショギ事件(2018/10)
  13. 日本 「入管法制」転換(2018/12)
  14. 日露「北方領土」交渉新局面(2島返還論)(2018/11)

このうち、筆頭のファーウェイ事件では、米国法令の域外「執行」が問題となりました。FCPAや反トラスト法の域外「適用」とは別の次元の話です。日産ゴーン前会長の事件は、現在もなお金商法(有価証券報告書虚偽記載)や会社法(特別背任罪)違反の疑いで公判・捜査が続行中ですが、経営者の報酬・利得をめぐる会計上の不正、コンプライアンスおよび企業ガバナンスの問題が大きく注目されました。会計コンプライアンスという点からは、パナソニックFCPA事件やMHPSタイ贈賄事件(公判中)も大きな事件でした。そして、なんといっても昨年は、国際政治が大きく動いた特筆すべき一年であったように思います(番外)。東アジア情勢、中東情勢が大きく変化した一年でした。

2019年は、昨年の大きな動きを踏まえて、変化に対する反動、修復、更なる変化があるはずです。そうした動向を分析するには、「情報」と「戦略」が大切です。「情報」を戦略的に活用すること、同時に、有意な情報に基づいて「戦略」を構築していくこと。ポピュリズムが席巻するグローバル社会の変化に対応するためには、こうした視点の重要性がいっそう増していくでしょう。

なお、特に腐敗防止という観点からは、「司法取引」という捜査手段を手にした東京地検特捜部の動きに引き続き注目が集まることは間違いないと思われます。

宜しくお願い申し上げます。

Tweet about this on TwitterShare on FacebookShare on Google+Share on LinkedInEmail this to someonePrint this page

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です