11月4日、サウジアラビアで突如、大規模な腐敗摘発が始まりました。ムハンマド・ビン・サルマン皇太子(Mohammed bin Salman)(32歳。通称MbS)が主導し、サウド家の王子11人、閣僚4人を含む数十人がいっせいに拘束されたと伝えられています。
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拘束された者の中には、
- アブドラ前国王の息子であるムトイブ国家警備相
- 有力者のファキーフ経済計画相
- 著名な大富豪投資家アルワリード・ビン・タラル王子
- 大手建設会社会長のバクル・ビン・ラディン氏
が含まれています。前国王に近い王族・有力者や、あるいはMbSの皇太子昇格(2017/6/21)に異を唱えた関係者が含まれていることから、ムハンマド皇太子に権力を集中させるための「政治的粛清」という側面が強いといえます。
サルマン国王が勅令を出して「最高委員会」(supreme committee)を創設した直後の粛清劇に、世界中で衝撃が走っています。
摘発は現在も続いており、拘束されている人間は200人超、凍結された銀行口座は330億ドル(約3兆7000億円)超と報じられています。現地系メディアによっては拘束者が千人を超えているとしているところもあり、予断を許さない状況です。
今回拘束されたのは、賄賂を「もらった側」の王族・有力者ですが、次の段階では賄賂を「贈った側」に捜査の焦点があたらないとは限りません。サウジアラビアビジネスにコミットしている企業にとって、リスクが大きく変動する重大局面を迎えているといっても大げさではありません。
最新のサウジアラビア情勢を踏まえて、今回の粛清劇が何を意味するのか、今後どうなっていくのかについて、次回のBERC「外国公務員贈賄罪研究会」で分析します。