朝日新聞対UE社事件、控訴審で判決

本日(2016/6/1)、東京高裁の控訴審で、朝日新聞社対ユニバーサルエンターテインメント社(UE社)事件の判決が出ました。

これは、フィリピンのカジノビジネスに関わる外国公務員贈賄疑惑を報じた記事に関して、UE社が「名誉毀損」で朝日新聞社を訴えていた損害賠償請求事件の控訴審判決です。東京高裁(水野邦夫裁判長)は「朝日新聞は33万円を支払え。1本の記事を削除せよ」という判決を下しました。

一審の東京地裁判決(2015/12/21)は「330万円の損害賠償+4本の記事削除」だったので、「賠償額は90%減額、記事削除も75%低減」といえなくもないのですが、UE社側の請求が一部認容されているという意味では、朝日新聞社側の「勝訴」とは言えず、引き続きの「敗訴」と言うべきでしょう。特に「記事削除」を覆せなかったのは「言論機関」として痛いところかもしれません。

フリーリポートの信頼性を含めて、FCPAに関わる事実を丹念に拾い上げ名誉毀損の主張を緻密に構成したUE社側に対して、北方ジャーナル事件等を引用して悠然と「反論」した形の朝日新聞社側。昨年末の一審判決は、そうした朝日新聞社側の主張に、厳しい判断を突きつけました。今回、一審判決に続いて控訴審でも朝日新聞が「敗訴」してしまったことに、波紋が広がりそうです。

「なぜこうなってしまったのか」については、次回BERC研究会で検証したいところです。

なお、一審判決については、講談社現代ビジネスの記事もご覧下さい。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47190

 

 

 

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