映画 『チョイス』

続いて、ケビン・コスナー主演の『チョイス!』(SWING VOTE)です。
2008年の映画ですが、日本では残念ながら劇場未公開。DVDが発売されています。

ケビン・コスナー。

この『チョイス』は、アメリカの大統領選挙を描いたコメディ映画です。

ニューメキシコ州の小さな町「テキシコ」に住む父子が主人公で、ケビン・コスナー演ずる父親は鶏卵工場で働く労働者。酒に溺れてだらしない毎日を送っています。小学生の娘モリーは、父親思いの優しい女の子ですが、まるっきり政治に関心のない父親とは違って、政治に対する熱い情熱を持っています。

大統領選挙の投票日。モリーは「絶対に投票に行ってね」と父に念を押して、投票所で待ち合わせすることを約束します。しかし、ケビン・コスナーは酒に酔って寝過ごしてしまいました。モリーは、せっかくの一票をムダにはできないと思い、こっそり父親の名義で投票しようとします。ニューメキシコ州は電子投票制。眠りこけている投票所のスタッフに気付かれないように、モリーはそっと投票用の機械を操作します。しかし、その時、掃除のおばさんがうっかり電源コードに足を引っかけて、機械の電源が落ちてしまいました。ケビン・コスナーの「投票」がどの候補に入るものだったか不明なまま、エラーになってしまったのです。

翌日の開票結果は驚愕するものでした。

なんと現職大統領と対立候補の票数が「同数」。

しかも、両候補者は全米で拮抗しており、ニューメキシコの代議員をどっちが取るかで大統領当選が決まるというのです。

さっそく、州の司法長官がケビン・コスナーの家にやってきて、再投票を依頼します。ケビン・コスナーはまさか自分の娘が投票しようとしていたとは言えず、「いいよ」と応じますが、家から一歩出ようとして腰を抜かします。全米、いや世界中のメディアが家の前に集結していたからです。

こうして、次期アメリカ大統領が誰になるかは、ケビン・コスナー1人の判断に委ねられることになりました。

直接民主政

渦中の人になったケビン・コスナーを、両陣営はあの手この手で籠絡しようとします。接待漬けになるケビン・コスナー。彼の「だめっぷり」演技は、『ポストマン』以来の筋金入りといってもいいほど高度な演技です。

やがて、ケビン・コスナーも次第に「自分の手で大統領を選ぶ」ということの重みをひしひしと感じるようになってきます。直接民主政を採用している国では、理論的に、有権者は誰しも大統領や首相を自分の一票で決めることができます。しかし普通は、数万、数十万票の中の一票だと思うと、なかなかそういった原理的な「価値」を実感することは出来ません。ケビン・コスナーは、「自分の1票が帰趨を決める」状態、つまり直接民主制の極限状態のような状況におののきます。

そして、驚いたことに、耳を傾け始めるのです。

最初は愛する娘の声に。そして、全米から寄せられた人々の声に。

耳を傾けるということが政治である。少なくとも、政治の本質の一端を表している、ということを改めて教えてくれる映画だったと思います。

ありがとう、ケビン・コスナー。

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